①地元小学校での、井戸水のくみ上げ体験
公益財団法人中谷医工計測技術振興財団の助成(2020年4月 - 2022年3月)を受けて、本校の教員・学生が地元の小学生を対象に、防災教育の取り組みをしました。この取り組みの一環として、弓削島の井戸をお借りして、手押しポンプ・つるべバケツによるくみ上げ体験を弓削小学校6年生の児童と実施しました。参加した児童の一人は「また断水したときにに備えて、井戸は使えるようにしておくことが大事」と述べていました。
以下の写真は、「つるべバケツで水をくみ上げるのが大変だった」という児童の意見をもとに、本校の実習工場で製作した井戸用のウィンチです。ホームセンターでそろえたハンドウィンチで作成しました(分解可能で、安価でできました)。ラチェットギアがついているので、疲れたら一休みできます。また、ライトも付けたので、暗く使用できます。
②卒業研究・クラブ活動の教育効果
令和4年度の卒業研究と科学実験同好会で活動しました。学生自身で作成したLDHホイルが大腸菌を吸着するということ、その吸着のメカニズムについて、学生はとても興味を示していました。吸着のメカニズムを物理の考えで理解し(クーロン力)、化学の知識を用いてLDHホイルを作り、生物である大腸菌を実際に吸着するという取組みを通して、学生は科学的な関心を高め、理解を深めることができました。また、島の井戸を探し、井戸の情報を調べてマッピングする作業はほとんど、学生に任せていたので、学生は自発的な行動をとることができました。
科学への好奇心を高め、生物を扱うことから学べる柔軟性、地域への貢献などを通して、学生は人間的にも成長することができます。
③大学授業でのLDHホイル製作
令和4年の11月に、愛媛大学農学部・生物環境学科・環境保全学コースの2年生22名を対象に行った学生実験において、水酸化マグネシウムを用いたLDHホイルの作成およびメチルオレンジの吸着実験を行いました。大腸菌除去と同じ原理で、メチルオレンジも色が消えます(スケジュールの関係で、大腸菌は行いませんでした)。下の写真は、学生が撮影したもので、左の色が消えている(吸着している)ものがLDHホイル、右が無処理のアルミホイルです。6班で行い、すべての班が写真のような結果を得ました。
水酸化マグネシウムを用いたLDHホイルの作成法は以下の通りです。この方法だと一段階処理でできます。
1.0.05 mol/L のMgCl2水溶液1LにMg(OH)2を1g添加(白い懸濁液)。
2.アルミホイル25cmX25cmを、3cm四方くらいにてでちぎり、ネットに入れる。
3.2を1に入れ、1分ほど優しくかき回し、24時間放置。
4.できたLDHホイルを水で洗浄して完成
(メチルオレンジで吸着実験をする場合は)
5.0.3ppmのメチルオレンジ200mLへ入れる。
6.24時間後、色を観察。
【最も簡単なLDHホイルの作成】
水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの飽和水溶液を用いたLDHホイルの作成法を紹介します。飽和水溶液でできるので、きっちり質量を測定しなくても作成できるメリットがあります。水酸化カルシウムの飽和水溶液は 1.7 g/L、水酸化マグネシウム:の飽和水溶液は0.01 g/Lと、殆んど溶けませんので、ともに、1Lあたり大さじ2杯入れてください。一つだけ注意点は水温です。温度が低すぎると、LDHがうまく形成されません。水温が22℃の状態で作成を行ってください。なお、LDHホイルは再利用可能です。大腸菌を吸着させたら、使用した水酸化カルシム水溶液(pH12ほどなので大腸菌は死滅します)に入れて、その後、水で洗い流したら再び使用することができます。
1.Ca(OH)2飽和水溶液を用意する。
2.アルミホイル25cmX25cmを、3cm四方くらいにてでちぎり、ネットに入れる。
3.2を1に入れ、1分ほど優しくかき回す。また、時間は1分くらいがベストです(30秒だとうまく酸化被膜が取れません)
4.Mg(OH)2飽和水溶液に3を入れて、かきまぜて1時間入れる。その後、取り出して水で洗って乾かして完成。
(メチルオレンジで吸着実験をする場合は)
5.0.3ppmのメチルオレンジ200mLへ入れる。
6.24時間後、色を観察。
作成の動画の一部を以下のリンクから閲覧できます。
https://www.youtube.com/watch?v=3cs_JU7eXmo
下図は作成の様子です。左側ビーカーが水酸化カルシウム飽和水溶液で、右側ビーカーが水酸化マグネシウム飽和水溶液です。
作成すると下図のような風合いになります。
④海外での取り組み
本校の学生が、海外短期インターンシップでタイのナコンパノム大学へ行き、現地の大学生とメコン川の水質調査システムの開発を行いました。システムの開発に加え、メコン川で、LDHホイルの検証を行い、その有効性を検証しました。今後、現地の大学の研究者と連携して、LDHホイルの作成法などの情報交換を検討しています。
下の写真の箇所で採水しました。
https://www.google.com/maps/place/17%C2%B023'57.1%22N+104%C2%B047'25.5%22E/@17.3991944,104.7904167,17z/data=!3m1!4b1!4m4!3m3!8m2!3d17.3991944!4d104.7904167
下のPDFは本校の参加学生の報告書です。